違反してない? エステサロンの広告表現 ~景表法、薬機法、医師法~

エステサロンの広告では、使用すると法律違反になってしまう注意すべき表現があります。もちろん、医師免許を持った医師にしか認められていない行為は禁止されていますが、エステティック業は自由業であり、職務に関して規定されている業法はありません。そのため、景品表示法や医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律など、消費者を守るための法律を順守する義務があります。

違反すると行政処分を受ける可能性もあり、サロンの存続にも関わります。オーナーとして、知らないでは済まされないエステサロンに関わる法律をひとつひとつ確認していきます。

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

1909-1C_10568008371.jpg

景品表示法(以下、景表法)は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」という名称です。

「一般消費者の利益の保護」を目的としており、すべての業種を規制対象としています。より良い商品やサービスを求める消費者に対し、うそや大げさな表示など、消費者をだますような表示をすることを禁止しています。表示」とは、エステサロンであればチラシやホームページ、看板などの広告表現を指します。

エステティック業に関わる「不当表示」でおさえておきたいのは「優良誤認」と「有利誤認」です。

優良誤認表示の禁止

<消費者庁ホームページより抜粋>

景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、

(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの

(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。

「業界No.1」「満足度100%」など、根拠もなく広告を出すと、優良誤認表示とみなされます。裏付けのない広告や、実際とは異なる効果や性能を表示することは景表法違反となります。

有利誤認表示の禁止

<消費者庁ホームページより抜粋>

景品表示法第5条第2号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、価格その他の取引条件について、一般消費者に対し、

(1)実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

(2)競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。

期間が定まっていないのに「今だけ」などと表示したり、通常販売での販売実績がないのに「特別価格」と表示したりすると、有利誤認表示とみなされます。

景表法のNG表現

景表法違反の具体例は「エステティックの広告表記に関するガイドライン」(一般社団法人日本エステティック振興協議会)にも挙げられています。

1.最上級及び客観的事実に基づく具体的な根拠を表示できない優位性を意味する用語は使用しない

例:「最新の」「最強の」「業界初」「最適な」「究極の」「世界最高の品質基準」「サロン支持率NO.1」「効果抜群」「最安コスト」「お問い合わせ殺到」「他にはない最上質」「芸能人ご用達の注目サロン」「極上の」「リピーター続出」「唯一の」「最高級の」「世界初」など

2.合理的根拠のない使用前・使用後の写真を掲載しない

使用前後の比較写真を掲載するには、まず高い再現性が確認されていることを前提とし、「どのような施術メニューであったのか」「どれくらいの期間施術したのか」「どのくらいの頻度で施術したのか」「施術前後に運動量や食事量について指導したか」「サプリメント使用の可否はどうか」といった要件を記述する必要があります。

3.短期間で効果がでるなど、客観的に実証が困難で、根拠が不明確な数値表示をしてはならない

例:「約5分で効果が体感できる」「30分で驚くほどきれいな瞳力」「衝撃の20分」「30分で半顔アップ」「1回で結果が出せる」「浸透率が70倍も高まる」「約1分間で血管内の滞っていた赤血球がするすると流れるようになり体もスッキリ」など

4.期間が不明確な価格は表示してはならない

例:「今ならたったの月額〇〇円で導入可能」「今だけ!500円でたっぷり90分(有効期限切れ表示)」など

消費者に、商品やサービスの質や価格を偽って表示すること、他より優れていると偽って宣伝することは違反行為です。悪意はなくとも、気づかないうちに該当表現になっていれば、違反とみなされてしまうため、NG表現例を参考にサロンの広告表現を見直してみましょう。

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、規制対象は医薬品や医療機器です。エステティック業で取り扱う化粧品や美容機器は薬機法の対象ではないため、医薬品や医療機器の定義を知り、誤解のない表現をする必要があります。

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の違い

薬機法に触れた広告表現とならないよう、まずは「医薬品」「医療機器」などの定義とその違いをおさえておきましょう。

医薬品(薬機法第2条第1項)

・日本薬局方に収められている物

・人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム及びこれを記録した記録媒体をいう。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く)

・人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすこと が目的とされている物であって、機械器具でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く)

医薬部外品(薬機法第2条第2項)

次に掲げる目的のために使用される物であって機械器具等でないもので、人体に対する作用が緩和なもの

・吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止

・あせも、ただれ等の防止

・脱毛の防止、育毛又は除毛

・人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除

化粧品(薬機法第2条第3項)

人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの。

ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物および医薬部外品を除く。

医療機器(薬機法第2条第4項)

人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等

薬機法のNG表現

エステティック業で「アンチエイジング」「副作用がない」といった表現を用いると、薬機法に抵触してしまいます。薬機法違反の具体例も「エステティックの広告表記に関するガイドライン」を参考にしてみましょう。

1.短期間で効果がでるなど、客観的に実証が困難で、根拠が不明確な数値表示をしてはならない

例:「10分で驚きの結果」「たった10分の施術!納得の効果!」「15分で即効実感!セルライトを解消」など

2.医療機器であるかのような誤認の恐れがある記載をしてはならない

例:「小顔」「リフトアップ」「クマ・シワ・ほうれい線・たるみ・ニキビ・色素沈着の改善」「殺菌効果」「小じわ・黒ずみ改善」「アンチエイジング」「目の周りのシミが薄くなり肌全体のくすみがとれる」「肌トラブル改善専門店」など

化粧品は医薬品ではありませんし、美容機器は医療機器ではありません。医薬品や医療機器のような効果があると誤解させる表現は違反となってしまいます。それぞれの定義を知り、誤解を招く表現は避けましょう。

医師法

1909-1A_10853005251.jpg

医師法とは医師の任務、免許、試験、業務などについて定める法律です。同法では、医師以外の者が医業をすることを禁じています。エステティックは医療行為ではないため、医療行為を連想させるような表現は規制の対象となります。

医師法のNG表現

以下は「エステティックの広告表記に関するガイドライン」にある具体例です。

1.医療行為の誤認の恐れがある記載をしてはならない

例:「眼内および眼周囲のリンパ循環を改善して、眼周囲だけでなく眼内のむくみまで解消」「眼内の眼周囲の筋肉を緩和して、それらの筋肉の働きを正常化」「頭蓋骨から引き上げる独自の技術、頭蓋骨スパ、頭蓋骨エステ」「矯正(骨盤、骨格等)」

「治す」「療法」「効く」といったあたかも医療行為と誤解させる表現は違反になります。エステティックに必要な肌や施術についての十分な知識を持ったうえで、業務範囲を守り、適切な表現を用いましょう。

安全な経営のためにガイドラインを順守しよう

エステティックそのものを取り締まる法律はなくとも、関連する法律には注意が必要です。法律違反は経営に莫大な損失を与えかねません。景表法、薬機法、医師法などの法律のほか、エステ業界が独自に定めるガイドライン(エステティック業統一自主基準)の遵守を心がけましょう。

❏あなたにおすすめの記事
・お客様向けの契約書作成や広告は慎重に。エステサロン経営に必要な法律知識
・これってNGワード?サロンで使える化粧品の効果効能表現を意識してみよう
・必ず準備したい!サロンを守るエステの免責同意書の作成方法

メナードのサロンオーナー【スクールとサロン開設支援も充実】

関連記事