損益分岐点はいくら?エステサロン経営者として求められる収支のバランスの把握

サロンオーナーとして安定した経営を行うために、収支の計算は欠かせないもの。メニューの料金を決定したり、キャンペーンでの割引価格を設定したりする際に、必ず確認しておきたいのがサロンの損益分岐点です。損益分岐点を把握することで経営上の課題や営業目標が明確になり、金銭に関わるさまざまな決定が行いやすくなるはず。今回は「損益分岐点」について、分かりやすく解説します。

損益分岐点とは

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損益分岐点とは、売り上げと、サロンを経営するうえで必要な人件費、光熱費、家賃、仕入れなどの費用がちょうど等しくなるような売り上げ、または販売数量を指しています。

つまり、損益分岐点を超える売り上げがあればプラス(利益)になり、売り上げが足りないとマイナス(損失)となってしまうというポイントです。例えば毎月の費用が10万円発生するならば、売り上げが10万円に満たないと赤字になってしまいます。

損益分岐点を下回る売り上げが続けば、赤字となりサロンの継続が困難になってしまうため、オーナーは必ず押さえておきたい数字です。(以下、図-1)

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変動費と固定費に分けて考える

収支のバランスを考える際に、その分かれ道となるのが損益分岐点です。「売上>費用」であれば黒字……という簡単な計算として、何となく理解したように思われる方も多いかもしれません。しかし、そうした安易な計算では、意外なズレを生み、そこから知らず知らずのうちに赤字へ転落してしまう可能性もあります。というのも、損益分岐点は常に同じではなく、その月によって大きく変わってくるからです。

費用には、大きく分けると変動費と固定費の2つがあります。変動費とは、販売や施術に必要な化粧品の仕入れ代金など、売り上げの増減に伴って発生するもの。固定費とは、売り上げの増加に関わらず発生する、テナント代金、美容機器やエステベッドなどのリース代、毎月固定給を払っている社員の給料などが含まれます。

売り上げが10万円発生した月と30万円になった月があったとしたら、どちらも同じ費用で済むわけではありません。施術に使用したアイテムや販売した商品の補充など、それぞれにかかる費用が異なるはずです。費用には変動費か固定費かという発生の仕方に違いがあるほか、各サロンによって変動費、固定費の内容や比率が異なっています。損益分岐点を把握するには、まず経営するサロンの変動費、固定費と売り上げとの関係を十分把握することが重要です。

例えば、すべての収入が化粧品販売とする場合、化粧品の仕入れ価格が売値の40%であった場合、10万円の売り上げが発生したときの変動費は4万円、粗利(売り上げから変動費を引いたとりあえずの利益)は6万円です。ここで家賃といったものを含め固定費が6万円であれば、変動費の4万円を足した10万円が損益分岐点に当たります。つまり、固定費と変動費を含む経費10万円が最初にあり、10万円分の売り上げから差し引けば、プラスマイナスゼロ。利益もなければ、損失もない「損益なし」の状態です。(以下、図-2)

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では、もし同じ売り上げで、固定費が上がったとしたらどうでしょうか? 例えば、一定の金額で給料が発生するスタッフを雇い入れることになり、固定費が7万円に上がったとしましょう。その場合、損益分岐点は約11.7万円となり、10万円の売り上げの場合、約1万円の損失となります。(以下、図-3)

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経営上の課題や営業目標を明確に把握しよう

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毎月の売り上げが一定であるにもかかわらず、思うように利益が上げられなかったり、損失が発生したりする場合には、大きく3つの理由が考えられます。まず1つ目は固定費が掛かりすぎている場合、2つ目に変動費が掛かりすぎている場合、そして3つ目として利益確保のために必要な売り上げが確保されていない場合です。

例として、上記の固定費6万円のケース(図-2)で考えてみましょう。すべての収入が化粧品販売とする場合、仕入れ400円の商品を、1000円でお客様に販売すれば、粗利は600円です。売り上げがあろうとなかろうと発生する固定費6万円を、まずは600円の粗利を積み重ねることによって回収しなくてはなりません。

粗利600円の化粧品を月に100本販売して、損益分岐点にたどり着きます。それ以上の収益を上げたいのであれば、100本以上を売る必要があるということです。月に20日間営業するサロンの場合、1日に化粧品を5本以上コンスタントに売らなければなりません。2人に1人のお客様が購入する商品なら、1日10人の来店を目標に集客することになります。月に100本の売り上げを達成することが難しい場合は、固定費や変動費を見直してみましょう。

このように損益分岐点を基準とした収支を考えることで、ひと月のうちに販売すべき本数が明確になり、営業目標が分かりやすくなります。毎月の損益分岐点が出せたら、営業日数で割って、何人くらいのお客様に来店してもらわなくてはならないか、いくらくらい商品を売り上げなければならないかをできる限り具体的に把握しましょう。

次に、変動費について見てみましょう。できるだけ変動費を少なくすれば、収益が大きくなるのは経営の基本です。サロンで販売する化粧品のメーカーに仕入れ代金の引き下げ交渉をして費用を安くしたり、化粧品を配送する運送会社を吟味することで配送料の負担を減らしたりと、できるところから始めてみましょう。

また、固定費においても高額な美容機器やエステベッド、パソコンなどをリースしている場合には、見直す必要があります。また、毎月一定の給料を支払っている正社員を雇っている場合は正社員の給料の見直し、家賃が高額であれば家賃について大家さんと交渉するといった固定費の削減を検討してみましょう。まずは、必要な費用を計算し、図を描いてみることから始めてみるのはいかがでしょうか。

損益分岐点を視覚的に把握しよう

損益分岐点はサロンオーナーとして把握しておきたい重要な数字です。まずはざっくりとした数字で構わないので、サロン運営にかかる固定費と変動費を把握し、計算したり、図に描いたりして視覚的に確認しておくことから始めてみましょう。損益分岐点から経営上の課題や営業目標が具体的になり、オーナーとして取るべき行動がクリアになることでしょう。

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